はじめにお断り!!ここに書かれた内容は、「サバイバル」の観点で見た場合の個人的な見解です。決して一部のナイフを否定する物ではありません。ナイフは趣味の部分が大きく入る物です。好きなものを持つことをお勧めします。ブッシュクラフトという活動をあちらこちらで行っていると、多かれ少なかれ交流を持つようになるのがサバイバル愛好家。私自身も、特に愛好というわけではない物の、サバイバルはとても興味が有る分野です。
で、サバイバルといえばやはりサバイバルナイフの話になるわけですが、実際のところ「サバイバルナイフ」って何?という話題に突き当たります。
ニュースなどでサバイバルナイフといわれた場合。大抵の場合は大型の厳つい見てくれのナイフを総称して指すようですが、多かれ少なかれアーミーナイフ(十得ナイフ)も含まれているようです。
まあ、このブログでそんな違いの話をしても仕方が無いので厳つい大型ナイフの話で進めますが、あのナイフ、最近海外では「ランボーナイフ」とあえて呼ぶことが増え始めてます。
理由は推測になりますが、ネット上でブッシュクラフトやサバイバル技術の情報交換をし、愛好家全体のサバイバル術レベルが上がってきた状況があります。こうした中、今まで「サバイバルナイフ」として売られてきたランボー型ナイフを考え直すようになり、「サバイバルナイフ」に対するビジョンが変わってきたためだと思います。
ランボー型サバイバルナイフ全てが使えないわけでは無いです。KA-BARのUSMC等はナイフとしてもサバイバルのナイフとしても良い物だと思います。が、問題なのは映画ランボーで一般化したデザインのサバイバルナイフ、そしてさらに拍車のかかった妄想サバイバルナイフになります。
個人的意見になりますが、何が良くないのか考えてみました。
ソーバック>ノコギリ状になった峰です。これをノコギリとして使ってみた場合はっきり言ってあまり切れる物ではありません。チョッピングするのとあまり労力は変わらないくらいです。その上ナイフとして簡単な削り作業をした場合、このノコギリのために左手で峰にサポートをかけることが出来ません。これでは単純な「削る」作業に支障をきたします。
スウェッジ>フォルスエッジとも言いますが、クリップポイントの峰側が、刃がつかない程度まで薄くなっている物です。戦闘で刺す事を考えるとこれは良いのかもしれませんが、そういった状況には前線の軍人さんもまずならないでしょう。ましては一般人にはまったく無縁。そしてこのスウェッジ、バトニングする時にバトンを叩き切る方向に作用し非常に不便。一般サバイバーにはまさに無用の長物・・・
大きさ>ここは微妙な部分なのですが、大きさが効果を発揮するのは斧や鉈のように使った場合。つまりチョッピングになるわけですが、実際チョッピングをする必要性はどの位あるものなのか?シェルターでタープ等を張るのに必要になるのは直径2~3cm前後の棒。これはチョッピングしなくてもMoraナイフで10秒から20秒あれば簡単に切り倒せます。
もっと本格的なシェルターを多くの木を組んで作る場合は?サバイバルシェルターは基本30分以内に、少ない労力で作る必要があります。その場合は木を切ることよりも、自然の地形を上手く利用したシェルターを作ることを考えますのでチョッピングは必要なくなります。
薪作りも同じ、丸太はそのまま投入した方が火持ちが良いので切らない、割らない。焚きつけようは5cm前後の物をバトニングすれば良いので大型ナイフはあまり必要ない。
チョッピングが本当に必要になるのは雪深い真冬。立ち枯れの木を切り倒すしか薪を得られない時。しかしそういった状況だと初めから斧、鉈もしくはノコギリを持っているのでナイフでのチョッピング不用。
フルタング>私としてはオーバースペックだと思いますが、丈夫に越したことは無いかと。ただ、スティックタングでもコンシールドでも正しく熱処理され、作られた物はとても丈夫で、「刃がだめになる前に折れることは無い」という実験結果も出ています。ので、ここは個人の好みかな?
セレーションブレード>ここは経験少ないのであまり追求しません。個人の好みで!
私自身の好みはセレーション無し。研ぎにくい、削り作業に不便、という理由です。
これらの事を頭に置き、どんなナイフがサバイバル向けなのかを考えて見ます。
刃渡り> 10~15cm
形状>ドロップ、スピアー、ストレートポイント。ソーバック、スウェッジ、セレーション無し。
刃厚>これは好みで。
タング>コンシールド、ラットテール、スティック、フルタング
そしてこれに合致するナイフは?というと・・・・
プーッコ&ブッシュクラフトナイフ
冬にチョッピングが必要になる時期は"斧"もしくは鉈。
私がお勧めしたいサバイバルナイフをリストアップすと・・・
Sissipuukko(シッシプーッコ=レンジャーナイフ)
ブッシュクラフトナイフ全般
Fallkniven F1
Leuku全般(レウク)冬季用
Hukari(フカリ)冬季用
最後に、参考までに著名サバイバリスト&サバイバルインストラクターの使っている切る道具を挙げておきます。
Mors Kochanski (モルス・コハンスキ)-サバイバル&ウィルドネススキルインストラクター
TV出演 多数
斧800~1000g、柄60~70cm。伐採用ノコギリ。
Ray Mears (レイ・ミアーズ)-ブッシュクラフト&サバイバルインストラクター
TV出演 RayMears Bushcraft, Extream survival 等多数
レイミアーズ・ウッドローブッシュクラフトナイフ(アントラーハンドル)
グレンスフォルシュ スカンジナビアン・アックス、折りたたみノコギリ
Bear Grylls (ベアー・グリルス)冒険家、作家、SAS
TV出演 Man v.s Wild
色々使うが、ガーバーの物多し。またセレーションのあるナイフも良く使う。
Les Stroud (レス・ストラウド)- サバイバリスト、サバイバルインストラクター、ドキュメンタリープロデューサー、ミュージシャン。
TV出演 Survivier Man, Beyond Survival等多数
無名クリップポイントキャンプナイフ、現在は自己プロデュースのサバイバルナイフ(Temagami含む)
Cody Lundin (コーディー・ルンディーン)サバイバリスト、サバイバルインストラクター
TV出演 Dual Survival シーズン1&2
モラクラシック、時々プーッコ・・・多分Kellam
Dave Canterbury (デイブ・カンテーベリー)米陸軍スナイパー出身、サバイバルインストラクター
TV出演 Dual Survival シーズン1&2
自作改造肉きり包丁、Pathfinder 1のプロトタイプもしくはそれらしき物。
Mykel Hawke (マイケル・ホーク)米陸軍スペシャルフォース出身、サバイバルスペシャリスト
TV出演 Man, Woman, Wild
Hawke's Hellion Survivorナイフ。